ハロウィンの起源と、かぼちゃのお化けや仮装の意味や由来!

数年前から、ハロウィンのお祭りが日本にも定着してきて、パレードや、幼稚園の行事などでも見られるようになってきました。

でも実際には、ハロウィンというお祭りの意味などについては、知らない方も多いと思います。

今回は、歴史を紀元前までさかのぼり、ハロウィンの起源から、ハロウィンに関する、有名なかぼちゃのお化けや、仮装、子供たちのお菓子集めの由来についても詳しく調査してみました。

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ハロウィンの起源

起源であるサウィン(サムハイン)祭

サウィン(サムハイン)祭とは、紀元前1500年という昔からあった、中央ヨーロッパから西ヨーロッパに住んでいた古代ケルト人のお祭りです。(その中でもアイルランドと、スコットランドが有名)

古代ケルト人は、動植物など自然界を崇拝する多神教のドルイド教を信仰していました。ドルイド教の司祭はドルイドと呼ばれ、祭事の他にも、王の相談役や、政治、司法、医者でもあり、予言の力や魔術の力にも優れていたと言われています。

古代ケルト人が信仰していたドルイド教の暦では、太陽の季節である夏の終わりと、1年の終わりの日が同じであり、10月31日でした。

そして、翌日11月1日から、新しい1年の始まりと同時に、暗闇の季節である冬が始まる日とされていました。

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サウィン(サムハイン)祭の目的

ドルイド教のサウィン(サムハイン)祭は、古代ケルト人の収穫祭と、先祖(死者)の霊を迎える日であり、その先祖(死者)の霊と共に、良い精霊、悪い精霊(悪魔、悪霊など)も一緒にやって来るため、魔除けの意味もあった宗教的な面での、ドルイド教の祭事の中で、とても重要なお祭りでした。

毎年、1年の終わりの日である10月31日の夜は、この世とあの世(霊界または他界)が重なるため、先祖の霊だけではなく、良い精霊も悪い精霊(悪魔、悪霊など)も自由に行き来ができ、悪い精霊(悪魔、悪霊)に悪さをされないために、この日の夜から翌日の朝にかけて、町の人々は家の明かりも、かまどの火も消し、真っ暗にして寒いイメージを持たれるようにし、外にも一切出ないようにしていました。

出歩くとさらわれる?

その悪い精霊の悪さというのは、この10月31日の夜は、町中あちこち歩き回り、見つけた人間の魂を取ろうとしたり、とり憑こうとしたり、又は、一緒に暮らす目的で子供を探してさらうと信じられていました。

なので、悪い精霊に会わないために、家から出ずにいたり、家を真っ暗にして、悪い精霊に目をつけられないようにしていたのです。

サウィン(サムハイン)祭の内容

サウィン(サムハイン)祭の内容はと言うと、10月31日の夜から始まります。

ドルイド教の司祭であるドルイドが、悪い精霊の目を誤魔化すために、仮面をつけたり、顔を黒く塗ったりし、牛などの皮で体を覆って、外で大きな焚き火(悪い精霊は火を嫌うため、悪霊払いのために火を焚いた)をし、収穫した作物や動物を焚き火に投げ入れ、精霊や神への施しとし、自然界の恵みに感謝の意を表し、その焚き火の周りで踊ります。

そして、11月1日朝になると、ドルイドは各家庭に、この焚き火の燃えさしを渡し、その各家庭の人々は家に持ち帰り、その火でかまどに新しい火をつけて、家を暖めました。その焚き火の燃えさしの火を使うことにより、その火を魔除けとしていました。

現在のハロウィンも、10月31日に行われています。そしてまた後述しますが、この祭りでドルイドが仮装したのが、現在の仮装の起源とも言われています。

内容こそ違いますが、紀元前の昔から続いていたというのは、やはり、古代ケルト人の信仰心の厚さが理由となっている気がしますね。

そして、このサウィン(サムハイン)祭と呼ばれていたお祭りは、後にハロウィンと呼ばれるようになります。

ハロウィンの語源となった「侵攻」遍歴

カトリック系キリスト教の古代ローマ人の侵攻

1世紀頃に、ケルト人の住む圏内に、カトリック系キリスト教を信仰している古代ローマ人が侵攻してきます。この時代は、ローマ帝国時代と言われ、かなり広域に渡って支配していきます。

ちなみにケルト人は、ケルト神話でも有名な、アーサー王などの英雄豪傑の神話があり、戦いに強い民族でしたが、古代ローマ人の侵略により、支配されるようになります。

そして、ケルト人の信仰しているドルイド教にも、カトリック系キリスト教は徐々に影響を与えていくことになります。

宗教がらみの祝日が語源

カトリック系キリスト教には、「諸聖人の日」という、聖人や殉教者を記念する祝日があります。

「諸聖人の日」は、5月13日だったのですが、ドルイド教への信仰心の厚いケルト人を、カトリック系キリスト教に改宗させるためなのか、異教の祭事として、サウィン(サムハイン)祭を潰すためだったのか、5月13日の「諸聖人の日」を11月1日に変更するのです。

そうです。サウィン(サムハイン)祭の日である10月31日の翌日、という事になります。

「諸聖人の日」は「All Hallows」(オールハロウズ)と呼ばれ、「Hallow」は聖職者の意味であり、サウィン(サムハイン)祭を、「All Hallows’Eve」として、「諸聖人の日」の前夜にし、この「All Hallows’Eve」(オールハロウズイヴ)が変化して、「Halloween(ハロウィン)」となったのではないかというのが、語源説として言われています。

古代ローマ人は、結局サウィン(サムハイン)祭を「Halloween」と名前を変えることは出来ましたが、サウィン(サムハイン)祭そのものを潰すことは出来ませんでした。

そのためケルト人は「Halloween」として、祭事を続けるに至ります。

ハロウィン風習の伝来

移民によってアメリカに伝来

17世紀頃になると、ケルト人の文化が強く残っている地域(アイルランドやスコットランドなど)では、熱心に毎年ハロウィンを祝っていたようなのですが、世界的に見てみると、カトリック系キリスト教の侵略や弾圧により、廃れていたそうです。

そして19世紀に、アイルランドからアメリカへ、多くの人達が移民を強いられ、アメリカに住むことになります。

移民のきっかけとなったのは、宗教的な弾圧で、アメリカにもカトリック系キリスト教を広めることとなりました。

アイルランドから移民としてアメリカに渡ったケルト人達は、昔からの強い信仰心からハロウィンを、他国の地であるため、大々的には祝うことが出来ず、ケルト人の共同体を作り、密かにハロウィンを祝っていたそうです。

それが、アメリカの大衆に知られるようになり、徐々にアメリカ国内で広がり始め、20世紀初めには、アメリカでのイベント、お祭りとして、大衆文化となり、ドルイド教で行っていた宗教的な趣旨は、ほとんどなくなり、内容も現在のハロウィンと同じ内容になりました。

その後、アメリカ人が他の国と、経済的に結びついていくことによって、それと同時に、ハロウィンも世界に広がっていきました。

ハロウィンが日本に伝わってきたのはいつ?

日本にハロウィンが伝わってきて、イベントが開催されるようになったのは、1990年代です。
今から、それほど前のことではなかったのですね。

始めにイベントを開催したのは、東京ディズニーランドでした。そのイベントは、仮装パレードです。ディズニーランドから始まったため、日本にハロウィンを伝えた国は、やはりアメリカだということですね。

それからは、日本国内の多くのお菓子メーカーによる、ハロウィン商戦、そしてSNSの普及によって、2000年代後半には、日本でも当たり前のイベントとして、ハロウィンは定着していきました。

毎年ハロウィンが近づく頃になると、かぼちゃのお化けのお菓子や、雑貨などが店頭に多く並んでますよね。流行というのは、とても勢いのあるものだと、つくづく感じてしまいます。

ハロウィンのかぼちゃのお化けの正体

次は、ハロウィンの代表的な存在である、かぼちゃのお化けの由来についてご紹介します。
このかぼちゃのお化けは、色々と呼び名があるそうで、「ジャック・オー・ランタン」や、「ウィル・オー・ザ・ウィスプ」というのが代表的だと言われています。

それぞれの意味を見ると、「ジャック・オー・ランタン」は、“ランタンを持つジャック”、「ウィル・オー・ザ・ウィスプ」は、“ウィルの鬼火”、となります。

日本では「ジャック・オー・ランタン」と呼ばれているので、ここでは「ジャック・オー・ランタン」の由来となった、「鍛冶屋のジャック」という、アイルランドの民話をご紹介します。

ハロウィン用に並べられたカボチャのランタン

鍛冶屋のジャック

昔、ジャックという、口が達者で、嘘つきで、酒好きな鍛冶屋がいました。
ジャックは、ハロウィンの夜に酒を買うために外に出ました。すると、人間の魂を取ろうという目的で町を歩いていた悪魔に会います。

ジャックは、悪魔に魂を取られまいとして、悪魔を騙し、「魂をとらない約束」をさせてしまいます。そして年月がたち、寿命を全うし、ジャックは亡くなります。

それからジャックの魂は、天国と地獄に向かいますが、亡くなるまで悪いことばかりしてきたジャックは、もちろん天国には行けません。なので地獄に向かいました。

すると地獄の入口に、あのハロウィンの夜に会った悪魔がいました。
そして、悪魔に「魂をとらない約束」をしたから地獄に入れられないと言われてしまい、ジャックは行くところがなく困りました。

すると悪魔に「元いた場所に戻れ」と言われ、悪魔に渡された地獄の火の玉を、カブの中身をくり抜いて空洞にし、そこに入れて持ち、ずっと彷徨い続けることになります。

その後、夜になると時々、ジャックの持っている明かりが、今でも見られるということです。

この「鍛冶屋のジャック」の物語を見てもわかるように、物語の前にお話したウィルだけではなく、ジャックも鬼火という存在だったのです。

ジャック・オー・ランタンは、一般的に魔除けとして使われており、海外では家の入口に飾っているようです。

物語から読み解く改宗の影響

ご紹介した「鍛冶屋のジャック」という、アイルランドの民話は、カトリック系キリスト教の影響を受けていると言われています。

もしかすると、ドルイド教からキリスト教に改宗されていき、サウィン(サムハイン)祭から、ハロウィンに名前が変わった後の物語ではないかと思われるのです。

なぜかと言うと、古代ケルト人のドルイド教という、自然崇拝の多神教では、天国と地獄という言葉はなく、あの世とこの世だけなのです。しかも、あの世は他界とも言い、良い精霊、悪い精霊のいる場所の区別もなく、この世から死者となって、魂があの世に行っても、その精霊たちと同じところに行くことになるのです。

そして、輪廻転生が信じられていたため、魂は必ず戻って来ることになり、永遠に彷徨う魂というのは、ドルイド教では有り得ないことなのです。彷徨い続ける鍛冶屋のジャックの話が成り立たないはずなんですね。

現在では、ケルト系キリスト教というのもあるようなので、ドルイド教の教義は、ほとんど残っていないかもしれないですね。

ジャック・オー・ランタンの材料事情

そして、このジャック・オー・ランタンは、アイルランドでは、作物として作っていたカブで作られていたそうなのですが、アメリカに移民後は、カブがアメリカには無く、かぼちゃが作物として多くあったため、かぼちゃで作るようになったそうです。

現在では、アイルランドは今でもカブで作っているというお話と、実はアメリカから、かぼちゃを輸入して、かぼちゃで作るようになったというお話がありますが、実際のところはわかりません。

そして、このジャック・オー・ランタンですが、使われるようになった時期は、定かには判明していませんが、サウィン(サムハイン)祭を、ハロウィンと呼ぶようになった記録が残っているのは、16世紀なので、もしかするとジャックの物語も、ジャック・オー・ランタンの使用も、その頃のことなのかもしれませんね。

ハロウィンでの子供のイベント、お菓子集めの意味は?

子供たちがハロウィンの日に仮装して、「Trick or treat!(トリック・オア・トリート)」と言いながら、家々を回り、お菓子をねだるという習慣がありますよね。

この習慣の起源は不明なのですが、ただ、子供たちにも楽しんでもらえるように、考えた人がいたのかな?とは少し思ってしまいました。

この「Trick or treat」という言葉は、直訳すると「いたずらか、ごちそうか」という意味になるのですが、ニュアンスとしては「お菓子をくれないと、いたずらしちゃうぞ!」という意味で使われています。

この言葉は、トリックとトリートの発音が似ているため、語呂合せの言葉遊びなのではないかという説があるそうです。そして、それぞれの単語の意味は以下の通り。

  • trick~「たくらみ」「だます」の他に、「いたずら」「悪ふざけ」
  • treat~「扱う」「待遇する」の他に、「ごちそうする」「もてなし」「おやつ」

これを見ると、子供たちに合わせる意味にすると、「だます」よりも「いたずら」であり、「待遇する」よりも「おやつ」にしますよね。なので、「お菓子(おやつ)をくれないと、いたずらしちゃうぞ!」の意味で使われているのです。

ハロウィンの仮装の起源

現在では、仮装もハロウィンイベントには欠かせない習慣となっています。

【サウィン(サムハイン)祭の内容】の部分でも、軽く触れましたが、仮装の起源もハロウィンの起源と同じ、サウィン(サムハイン)祭にあります。

サウィン(サムハイン)祭で、ドルイドが仮面をつけたり、動物の皮を被ったりして、悪霊にとり憑かれないためにしていた仮装が、現在まで続いていることになります。

でも現在では、宗教的な趣旨が、ほとんどないため、それぞれの人が好きな仮装をしていますよね。でも、魔除けの意味であることは、残っているようで、怖い仮装をしている人も見受けられます。

仮装の由来としては2つの説があります。

  1. 悪霊でも怖がるような仮装をして追い払う
  2. 怖い仮装をして、悪魔に仲間だと思わせて、悪さをされるのを避けている

現在では、悪魔やお化け、魔女などだけではなく、ディズニーのキャラクター的な仮装まであるようです。

日本でも、地方で仮装パレードをイベントとして行っていたり、ディズニーランドなど、テーマパークでも仮装パレードが行われています。そして、パレードを観に行く観客で賑わっているそうですよ。

ハロウィン起源、由来まとめ

  • ハロウィンの起源は、古代ケルト人のドルイド教の祭事の1つのサウィン(サムハイン)祭であり、1年の終わりと収穫を祝い、先祖の霊を迎え、悪霊を追い払う祭りで、10月31日の夜から、新年の11月1日まで行われる。
  • ハロウィンの語源は、ケルト人を侵略、支配した、古代ローマ人の信仰するカトリック系キリスト教の祝日である「諸聖人の日」が、11月1日に制定されたのをきっかけに、サウィン(サムハイン)祭からハロウィンと、祭りの名前を変えたところからきている。
  • 19世紀に、アイルランドからアメリカへ移民があり、アメリカでのイベント、お祭りとして、大衆文化となり、その後、アメリカ人によって、世界に広められた。
  • ハロウィンの代表的な、かぼちゃのお化けは、ジャック・オー・ランタンと呼び、アイルランドの民話が元になっており、アイルランドでは、カブで作っていたが、アメリカに移民後、かぼちゃとなり、魔除けとして使われているが、意味は鬼火である。
  • ハロウィンの子供のイベントである「Trick or treat!(トリック・オア・トリート)」と言いながら、家々を回り、お菓子をねだる習慣の起源は不明だが、言葉の意味は、子供らしいニュアンスにして「お菓子(おやつ)をくれないと、いたずらしちゃうぞ!」という意味で使われている
  • ハロウィンの仮装の起源は、ハロウィンの起源と同じく、サウィン(サムハイン)祭であり、ドルイドの仮装が起源となっている。
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