棹(さお)という単位は何故?箪笥の数え方の事実に迫る。

箪笥(たんす)の数え方をご存知ですか?

箪笥は1個、2個・・、やひとつ、ふたつ・・、と数えるのではなく、1棹(さお)、2棹(さお)・・と数えていきます。

棹とは珍しい数え方だと思いませんか?物事、言葉、そうなったのには必ず原因、つまり由来や起源が存在します。

今回は箪笥がなぜ棹を用いて数えられるようになったのかをお伝えしていきます。

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まずは箪笥の歴史から

箪笥は衣類や道具を収納するための引き出しや扉を備えた家具のことを言います。

種類も和箪笥や洋箪笥、茶箪笥など様々なものがあります。

これら箪笥は木製の製品で、大型のものが多く、一人で持ち運ぶことは容易ではありません。

箪笥が庶民に広まったのは江戸時代末期と言われています。

箪笥以前は収納だったのか

それまでの庶民は、衣類や道具などは、竹や籐で編んだ行李(こうり)や長持(ながもち)と言われる木製の箱に収納していました。

行李は竹や籐で編んだものですので、持ち運ぶのもそこまで難しくはなかったのですが、長持ちは木で出来ていますので、中に物を入れて運ぶのは大層な力を必要とする作業でした。

そこで、下の部分に車輪を付けた長持が作られて、これが庶民の間で人気の品となっていきます。車輪が付いていると力を必要とすることなく移動することができます。

これを車長持といいます。

古く味のある和箪笥

箪笥を棹(さお)と数える理由

火事による改良が由来

江戸時代は火事が多いことで有名ですが、この車長持は、火事が発生してもすぐに転がして移動できるので、便利ではあるのですが、それ故に起きる問題がありました。

それは何かというと江戸の大火の時に多くの庶民が車長持を持ち出して避難したために、今度は路地が多くの車長持で塞がれてしまい、人々が逃げ場所を失ってしまうという大惨事を引き起こすこととなってしまいます。

その結果、江戸幕府は車長持の製造を中止するという御触れを出しました。

棹で担ぐ仕組みを採用

車長持がなくなってしまって不便になった庶民の間では、今度は長持の上の部分に棹を通して担ぐタイプの長持を生み出しました。

そのころにちょうど箪笥も庶民の間に広まるようになり、この箪笥にも棹を通して持ち運びができるような作りが取り入れられたのです。

重いものをいかに簡単に持ち運びできるかという庶民の知恵の結晶です。

このように棹を通して運ぶことから箪笥は1棹(さお)、2棹(さお)・・と数えられるようになったのです。

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箪笥の数え方まとめ

  • 箪笥以前は木箱に収納していた
  • 移動が大変な為、車輪を木箱に取り付けた
  • 火災時に車輪付き木箱が避難経路を塞ぎ大惨事となった為製造が禁止された
  • 長持(木箱)の上に棹を通し、背負えるタイプが生まれ、箪笥にもその仕組みを採用したことから箪笥の数え方が棹(さお)となった

現在では家の造りなども変化して、箪笥ではなくクローゼットを使用する家庭も多くなってきたのではないでしょうか。

箪笥にも色々な使用用途や風情があります。

実際、箪笥に触れると分かるのですがやはり木の匂いは心を落ち着かせる感覚があります。さらに、木は生き物で湿度などを吸収してくれて、耐用年数も樹脂より長い素晴らしいものです。

難点としてはやはり高価で重い、といったところでしょうか。中々箪笥を選ぶ機会が減った昨今ですが、箪笥を手にした時は日本の伝統工芸品としてその文化や歴史に触れるのも悪くないかもしれません。

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