「事件、火事などの現場にどこからともなく現れる野次馬」
事件などが起こるといつの間にかに集まってくる「野次馬」のみなさん。
その出来事に対して興味を持って寄ってくる見物人のことを言いますが、そのような人たちのことをなぜ「野次馬」というのでしょう。
野次という言葉は「野次を飛ばす」等、あまりいいイメージがありませんが、どういった経緯でその言葉が付いたのか、この言葉に使用された動物が何故、馬なのか・・・
今回は「野次馬」について調べていきましょう。
目次
野次馬の有力な語源
まず「野次馬」とは、
- 自分に関係のないことで興味本位に騒ぎ立てること、またそのような人。
- 父馬、年老いた馬
という意味があります。これを踏まえた上で諸説囁かれている語源の始まりに近づいていきましょう。
野次馬は親父馬(おやじうま)が語源?
意味の中に出てくる年老いた馬を昔は親父馬(おやじうま)と呼んでいました。
馬はもともと一頭ごとの個で生活をするのではなくて、群れを作って生活をする動物です。その集団の生活の中で年老いた馬というのは、若い馬に比べると体力がなく、権力争いに勝てるわけもありませんからリーダーシップを取ることもできません。
そうなりますと年老いた馬は必然的に若い馬の後ろからついていくことしかできなくなります。
また、家畜としての馬の中で、年老いた馬は人間の農作業などにも体力がないことから利用することができずに全くの役に立ちません。
こうしたことから、役にも立たない、後ろからついて回るだけの親父馬(おやじうま)という言葉が、自分に関係のないことで興味本位に騒ぎ立てる人と似ているということでおやじうま→やじうま(野次馬)と言うようになりました。
ちなみのこの「野次馬」の「野次」という部分の漢字は当て字になります。
親父馬以外の語源説
やんちゃな馬が由来だという説もあるが…
「野次馬」の語源の説には、「やんちゃな馬」から由来するという説もあります。
ただしこれは、やんちゃの意味を調べてみますと、
- 子供が、わがままを言って、駄々をこねたり、いたずらをしたりすること。そういう子。
と出てきますので、あまり興味本位な見物人を指す「野次馬」に結びつけることは難しそうです。ふと思ったのですが、この「やんちゃな馬」説は「じゃじゃ馬」と混同されているのでは?と感じました。
やんちゃな馬→やんちゃ馬→やちゃ馬→じゃじゃ馬、みたいな…考えすぎでしょうか?(笑)今度は「じゃじゃ馬」の語源や由来を知りたくなってきましたね(笑)
さて話を戻しまして、こういったことから音の響き、言葉の持つ意味等も考慮して「野次馬」の語源としては「やんちゃな馬」説よりは、「親父馬」説のほうが有力な気がします。
谷地馬が語源である説も
野生の馬を捕えて、乗馬用の馬にする為に逃げ場のない谷地に馬を追い詰めて捕えていた事があったようです。谷地とは湿地を指しており、馬が疾走するには足場が悪い場所です。
その様な走りにくい場所でも、逃げる為に馬は我先にと見境なく足場の悪い場所にでも突っ込んで行く様を「谷地馬(やちうま)」と呼んだそうです。
そう考えると何か自分に全く関係ない事を面白がって、我先に駆けつけてくる人達はまるで「谷地馬」に似ていますよね。
そしてその言葉が当て字により「野次馬」となったとされる説です。これも親父馬に次いで中々に腑に落ちやすい語源・由来ですね。
時に加害者にも成り得る野次馬のまとめ
今回は、「野次馬」の語源について調べてみました。
最近では、SNSへアップすることを目的として、我先にと事故現場や火災現場へ駆けつける人も多いと聞きます。
そのせいで警察官や消防車が現場へ駆けつける時間が遅くなり被害が拡大してしまうというニュースも少なくありません。
事件、事故の被害者にとっては一刻を争うことにもなりますので、好奇心が旺盛なのは非常に素晴らしい事ですが、自分の欲求を控えるべき時はきちんと弁え、
野次馬根性を持つことは程々にするのがいいのかもしれませんね。