カツアゲ・・・あんまり気持ちのいい響きではないですよね。
でもちょっと美味しそうな響きもするのは私だけでしょうか・・・(笑)
日常生活でそんなに耳にすることはない言葉だけど、耳にしたらしたでそこまで聞きなれない響きでも無い気がするこの「カツアゲ」の由来や意味を正確に知ってみましょう。
目次
カツアゲは江戸時代の後半に使われ始めた言葉
カツアゲとは相手を脅して金品を巻き上げる事です。さらに他者に恐喝行為を行わせ自らが利益を得た場合も同様です。立派な犯罪行為であり、恐喝罪として罰せられます。
ですが本来このカツアゲは犯罪行為ではありませんでした。
もともとは江戸時代に役人によって行われた『鬘上げ』という髪の毛を引っ張り本物の地毛か確認する取り締まりのことで、違法に日本に紛れ込む外国人を取り締まることが目的で行われていました。
つまりカツアゲの使い始めは今とは全く逆で、善良な行いの事でした。
裏社会の世界で作られた言葉である
日本の江戸幕府は日本人の出入国の禁止と外国との貿易を制限するため1639年から1853年までの215年間もの間を鎖国していました。
この期間全ての外国との関係が絶たれていたわけではなく、オランダと中国に対しては長崎の出島での貿易だけ許されていました。
そこで出島から市街地に足を踏み入れようと日本人に変装するオランダ人が増えていることが問題になりました。彼らは出島に出入りする日本人娼婦の髪を切り、それをもとに黒髪のかつらを作りました。
その見事なかつらで出島と市街地を結ぶ検問をくぐりぬけていました。
幕府はこの事態に対応すべく、「鬘上げ」という通行人の髪を引っ張ることで本物か確認する作業を役人に行なわせていました。
役人は長崎の市街各所を巡って回るのですが出入りするオランダ人が増えると巡回が人手不足になり、それを補うためならず者や荒くれ者までも雇い入れました。
それによりオランダ人の変装も様々なバリエーションが存在し、髪の毛をそり落として出家増を装う者もいたそうです。
これでは髪を引っ張ることもできないと鬘上げは次第に減少していく事となります。
鬘上げではなくカツアゲが始まる
鬘上げの減少につれ臨時で雇われていた者は職に溢れてしまいます。ですがもともとならず者や荒くれ者だった彼らは、道行く善良な人に鬘上げを装い金品を強要しました。
この悪質な鬘上げを装った行為は九州全土に広まり、善良な市民を脅かすことになりました。そして各地に「鬘上げ」という言葉が広まる際に「カツアゲ」と発音されるようになりました。
この裏社会で行なわれ始めた恐喝行為が今もなお使われている「カツアゲ」の始まりです。
不良が作った造語ではありません!
映画や漫画でもよく不良が自分より弱いものに対してカツアゲをしているシーンがあります。カツアゲは不良が行なうというイメージがありますが、不良が作った造語でもなければ全ての不良が必ずしもカツアゲするわけではありません。
不良とは周囲を威嚇するような行為や発言をしたり、飲酒や禁煙さらに薬物乱用などの非行行為を行う者に対して呼ばれます。一般的には20歳に満たない少年少女に対して使われ、ヤンキーやチンピラと呼ばれることもあります。
不良の間で通用する言葉不良が作った言葉として知られているものです。
- やきいれる(緩んでいる気持ちを引き締めさせる)
- ばっくれる(逃げる)
- タイマン(1体1での勝負)
- がんとばす(にらみつける)
- シカト(無視すること)
ほかにも沢山の用語があり、昔から使われているものや現代では若い世代で当たり前のように使っているものまで数多く存在します。
カツアゲの意味は恐喝して巻き上げる事
漢字では恐喝の「喝」と巻き上げるの「上げる」で「喝上げ」と書きます。意味も漢字の通り恐喝して何らかの財産を巻き上げることです。
恐喝行為のことをカツアゲと言うことにより、恐喝という犯罪の言葉の重さや罪深さを崩してしまっています。
つまりその行為自体の罪を軽く感じさせ、さらに気軽な言葉として使うことが出来るのがカツアゲなのです。
ですが言葉が違ってもカツアゲと恐喝の行自体に違いや小差はありません。例え100円でも相手に怖い思いをさせ利益を得たのなら、それは立派な犯罪行為です。
つまりカツアゲの事実を知りながら止めないのは犯罪を見逃しているのと同様です。
カツアゲは10年以下の懲役に処される犯罪です!
脅しや暴力により他者に恐怖心を生じさせて財産を得る行為を行った場合は、刑法249条に規定されている恐喝罪という罪に問われます。またその行為自体を本人が行わずに他者が行っても、本人が財産を得た場合は同じように罪に問われます。
恐喝罪は10年以下の懲役刑に処されます。懲役刑とは受刑者の身体を拘束し自由を奪う自由刑の一つで、刑務所に拘禁し洋裁や木工などの刑務作業を1日8時間、週5日行うことが義務付けられています。
自由刑は全部で3種類あり、似ているようですが違いがあります。一つは恐喝罪で課せられる懲役刑です。もう一つは禁固刑といって拘禁するが刑務作業を義務付けない刑罰で、運動や読書をする決まりがあります。
最後に拘留刑といった1日以上30日未満の拘束で、自由刑の中では一番軽い罪を犯した受刑者に課せられる短期間の刑罰です。
犯罪を犯した者が罪を償う行為は当たり前に求められてしまうもので、自分自身そうならないためにもカツアゲの言葉の重みを忘れずにいてください。
さらにカツアゲが恐喝罪に問われることを知らずにいる人や、少しの罪悪感しか感じていない人がいたら間違いを正してあげてください。
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